下顎ほぼ中央部に腫瘤を形成したウエストハイランドホワイトテリアの9歳, 去勢雄は膿瘍と診断され, 切開による患部の洗浄・消毒と抗生物質により治療されたが, 40日経過しても改善しなかった。そこで再度切開と壊死組織の除去による治療を試みたところ, 左下顎第1および2後臼歯が原因と考えられる外歯瘻と診断し, これらの2歯を抜歯したところ, 3-4日で排液が止まり, 2週後までに治癒した。下顎の難治性瘻孔は歯が原因となることを考慮すべきと思われる。本症例は下顎皮膚に開口する犬外歯瘻例としては極めて稀であると思われる。
抄録全体を表示