子宮頸部乳頭状扁平上皮癌はまれな疾患である. 今回われわれは, 老人保健法に基づく子宮がん検診で近医を訪れ, 発見された乳頭状扁平上皮癌の症例を経験した.
細胞診標本では, 出血・壊死を伴う腫瘍性背景の中に軽度異形成から扁平上皮癌までを示唆する異型細胞が多数認められ, さらに膀胱の移行上皮癌に類似した乳頭状の異型細胞集塊が認められた.生検組織診では, 乳頭状扁平上皮癌と診断されたが, 浸潤の有無は確認できなかった. 術後の組織診では浸潤が認められた.
乳頭状扁平上皮癌の症例においては, 術前の生検組織診では浸潤を確認できない例が多いが, 細胞診では浸潤の推定が可能な例が多く, 細胞診は術前の病期診断に有用である.
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