江戸中期以降に焼成された陶磁器 (片) より, 円盤状 (9.4mm径, 厚さ1mm) 測定試料を作製して熱ルミネッセンスの研究に使用した。はじめに, 人工的に放射線照射した試料からの熱ルミネッセンスカラー画像 (TLCI) を得た。磁器からのTLCIは均一な赤色TL (RTL) を示しており, 陶器は粒子状の赤色と青色の混合パターンを示した。この結果に基づき, 磁器円盤状試料を用いて, RTL測定を行ってリジェネレーション (再現) 法と付加線量法により天然蓄積線量を評価した。年間線量を1mGyと仮定したとき, 見積もられたRTL年代値はほぼ推定年代値と調和的であった。ここで開発したRTL年代測定法は30年にも至る若い年代評価のみならず, 陶磁器の真贋の判定や事故時の放射線被曝線量見積り評価にも利用可能と結論できた。
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