筆者等は,電流概念の形成に関する研究を行っている。今回は,電流概念の基礎となる電流の流れる向きについて,その理解度を小学校3年から中学校3年迄を主に調査した。調査は,([○!+]極から[○!-]極へ流れる」など文章で問う形式と,具体的に電流の向きを示した図によって問う形式の問題で行った。又,乾電池に豆電球を連絡した場合,回路の各部分を流れる電流の強弱に関する考え方についても調査し,電流の流れる向きについての理解の深さを検討した。その結果,電流の流れる向きについての小学校4年,6年及び中学校2年での学習と理解度の間には深い関係が認められた。又,文章で問う形式と,図によって問う形式の問題の答は,正誤にかかわらず良く対応していた。一方,電流の向きについて理解しているように見える者の中にも,「電流は[○!+]と[○!-]の両極から流れる」と言う考え方が潜在していて,真の理解に達していない者も中学3年以外にかなり見受けられた。
抄録全体を表示