背景.Remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema(RS3PE)症候群は腫瘍随伴症候群の1つで,左右対称性で四肢末梢の圧痕浮腫を伴う滑膜炎をきたす.RS3PE症候群の10~40%に悪性腫瘍を合併するとの報告があるが,肺癌との合併は稀である.症例.67歳男性,検診を契機に右肺S2に0.9 cm(浸潤径0.3 cm)の結節をCTで指摘された.1年後のCTで同結節は1.1 cm(浸潤径0.7 cm)と増大し手術の方針にした.また手術の2カ月前より両側足背の著明な浮腫があり,精査を行うも原因は不明であった.手術は右S2区域切除術を施行,病理診断は微小浸潤性肺腺癌,pT1miN0M0 stage IA1であった.術翌日より浮腫の改善を認め,術後1カ月では完全に消失した.現在術後1年,肺癌及び浮腫の再発なく経過しており,後方視的ではあるがRS3PE症候群の合併が考えられた.結論.RS3PE症候群をきたした肺腺癌に対して切除術を施行し,症状軽快を認めた1例を経験した.肺癌に合併した急速に進行する浮腫を伴う関節炎を認めた場合には,RS3PE症候群を鑑別に挙げる必要がある.
抄録全体を表示