環境水に含まれるキレート物質である溶存フミン物質を,陰イオン交換樹脂ジエチルアミノエチルセルロースを使用して濃縮し、吸光光度分析を行った。瀬田川、琵琶湖湖水に適用したが、環境分析法として有効性の高いことを確認できた。瀬田川河川水の1991年5月~12月の問の継続的な分析ではフミン物質濃度は0.3~0.73μg・ml
-1、8、9、10、11月の琵琶湖南湖のフミン物質は0.2~0.91μg・ml
-1の範囲にあった。瀬田川では台風による琵琶湖の増水によって溶存フミン物質濃度は増加し、瀬田川の濁水の治まるにつれ急減した。琵琶湖南湖のフミン物質は東岸部、赤野井湾や矢橋湾人工島水路で高い値を示し、北湖水の流入域で低いものとなった。フミン物質を構成するフミン酸/フルボ酸の比率、溶存態と懸濁態の構成比率なども求めたが、降雨の影響で大きく変化している可能性が示唆された。
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