本稿は,勝田守一による「
生活指導
と教育課程との統一」という提起の内実を明らかにするために,彼の
生活指導
概念の特質を描出することを目的とする。
勝田の
生活指導
概念の特質は次の点にあった。①子どもの抑圧や疎外といった現実の問題を解決するために,認識や知識を
生活指導
に求めていた。②集団という観点は,生活綴方から引き継いだものであり,道徳教育と全国
生活指導
研究協議会の議論を受けて前景化してきた。すなわち
生活指導
では,自己確立や疎外からの自己復帰といった個人の形成に主眼を置いていた。③
生活指導
と生活綴方を不可分のものとして把握し,
生活指導
と教育課程との結びつきを求めることにより,
生活指導
を機能概念として捉えていた。
そして,
生活指導
は,科学を組織した教育課程を「生活的」にする機能を担う。これが,「
生活指導
と教育課程との統一」という提起の内実である。生活綴方によって看取した「子どもたちが打ち当たる生活的な問題」を教育課程に位置づけることで,「生活的」な教育課程となる。その教育課程を履修するなかで,「認識の仕方と知識と,そして問題を解決する技術や技能を学習し,訓練する」。この過程において,「自主的判断」を育成する道徳教育がなされる。こうした生活綴方,教育課程,道徳教育といった諸要素の働きは,教育の目的である人間形成,すなわち「自己確立と連帯的な行動や意識」に向かう。
抄録全体を表示