2024 年 49 巻 p. 73-83
本研究の目的は,宮坂哲文(1918-1965)における「教育方法体系」の構想の特質とその意義を明らかにすることである。宮坂が指導的立場にあった教育実践において,感情の指導が基盤に据えられ,学級の共同経営が行われていたことに着目し,「教科指導と生活指導の統一」にたいして提起された「教育方法体系」の内実を解明した。
実践記録の検討をとおして,宮坂の「教育方法体系」における三点の特質が明らかになった。第一に,指導の基盤に子どもの感情が据えられていた点である。第二に,教師らが学級を共同経営することによる各領域の結合である。第三に,教育の目的と方法が,子どもの姿によって問い直されることが見通されていた点である。
宮坂の「教育方法体系」とは,感情の指導をとおして生活の実感を自由に表現できる「学級」をつくる一過程に,教科外活動や教科指導が位置づけられたものである。「学級」は教師らによって「共同経営」されることで,教師が子ども理解を深める場が生じ,子どもの姿にもとづく授業づくりが行われていた。おわりに,「学級の共同経営」は,教師集団づくりとっての意義も有していることに論及し,今後さらに「教科指導と生活指導の統一」の内実を深めていくために,「教育方法体系」を授業研究や,学習に取り組む集団づくりの視点で検討していく必要性を提起した。