我々は, 腺様嚢胞癌の一手術例を経験し, 興味ある摘出標本の超音派検査所見を得たので報告する.症例は, 70歳女性.平成3年10月より咳, 血痰が出現し, 気管支鏡CT等にて, 右中間気管支膜様部より生じた腺様嚢胞癌と診断した.手術は, 右中間気管支後方への壁外浸潤を強く疑い, 右中下葉切除とした.気管支壁と腫瘍の関係を知るため, 摘出直後の標本を脱気水に入れ, 7.5MHz の probeにて超音波検査を行った.この検査にて,
1) 腫瘍部分と非腫瘍部分の区別が容易
2) 気管支壁内外の腫瘍の位置関係が明瞭
3) 腫瘍の気管支軟骨への浸潤の有無を読めるなど, 興味深い所見が得られた.
以上より, 術中困難であった気管支壁への局所浸潤の程度を, 摘出直後に診断する一方法として, 超音波検査があげられると考えた.
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