日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
ERCPで診断しえた成人輪状膵の3例
田中 啓三渋江 正山口 淳正喜入 昭宮田 晋壱岐 慎一郎有馬 貞三坂口 健次郎桑波田 仁小吉 洋文深水 満英 保彦山下 行博松元 淳桑波田 竜彦納 利一草野 健吉重 康幸新牧 一良橋本 修治
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 24 巻 4 号 p. 672-679

詳細
抄録
 内視鏡的逆行性膵胆管造影法により診断された輪状膵の3例について報告する. 症例1:アルコール多飲歴のある47歳男性でERCPにより膵石と主膵よりなる管輪状膵と診断された.慢性再発性膵炎の経過中膵に一致して腫瘤が出現し,開腹により輪状部上方十二指腸に潰瘍を認めた.腫瘤は11,200Somogyi単位のAmylaseを含む膵仮性嚢胞と診断された. 症例2:下痢を主訴とした76歳男性でERCPによりWirsung管に注ぐ分枝の輪状膵で,輪状部膵管,主膵管共に慢性膵炎像を呈していた.症例3:悪性リンパ腫の経過中ERCPを施行した47歳女性でWirsung管に注ぐ分枝の輪状膵で,主膵管に軽度の慢性膵炎像を認めた.以上の3症例に加え本邦報告成人輪状膵65例についても検討したが,診断面においてはERCPが最も有意義であり輪状膵の発生機序の解明や治療方針の決定にも大きく寄与するものと考えられた.
著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top