40歳の男性,第II世代HCV抗体陽性,HCV-RNAのgenotypeはII型であった.肝生検像より慢性活動性肝炎と診断し,インターフェロン(IFN)α 2b 6MUの投与を開始した.治療開始後トランスアミナーゼはほぼ正常値を継続していたが,開始第95日後,IFN総投与量288MUの時点でGOT 20,270IU/l, GPT 6,820IU/l, LDH 17,790IU/lと著明な上昇を認めたが,血中HCV-RNAはすでに陰性化していた.IFN投与を中止後GOT, GPTは速やかに下降し,凝固因子も改善した.第102病日の2回目の肝生検像では,治療前に比べてグリソン鞘の炎症細胞浸潤はやや軽減し,小葉内にはspotty necrosisと敷石状配列を示す再生肝細胞が多数認められた.その後,肝機能は順調に正常化し,HCV-RNAも持続陰性のまま現在に至っている.
本症例はIFNによるHCV感染肝細胞排除に生体の免疫能の変化を介する機序も介在することを示唆する症例であると思われた.
抄録全体を表示