著者らは, さきにπ-電子をもつ
発癌性
物質について, 著者らの提出したフロンティアー電子理論を用いて, 電子状態と
発癌性
との関連をしらべ, その間に顕著な並行関係の存在することを見いだしたが, 同じように, 安息香酸誘導体のような植物生長素性物質の電子状態とホルモン活性との間にも密接な関係があることを知った。
本論文では, これらの物質の電子状態とホルモン活性との関係を簡単に述べ, これが,
発癌性
物質と, その作用機作および活性中心に関して極めて強い類似性をもっていることを指摘し, これらの関連を論じた。すなわち, 反応様式は, 生体内の求核的反応基 (ここではSH基) との反応であると考えられ, また反応中心としては,
発癌性
物質の主発癌団, 副発癌団に対応して植物成長素性物質にも二つの活性団 (これを著者らは Principal auxiuophore, および Subsidiary auxinophore とよんだ) が考えられたが, これらの作用機作は極めてよく類似している。
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