桑葉離層部の細胞壁分解酵素に対する2-クロルエチルホスホン酸(エセホン)処理の影響を測定するとともに,これら酵素の部位別酵素活性の変化を明らかにした.
(1) 部位別セルラーゼ活性は離層部の茎側が最も高く,葉柄部が最も低かった.これらの活性は秋が深まるにつれて急増した.しかし, endo-ポリガラクチュロナーゼは逆にわずかに減少した.ヘミセルラーゼとペクチンエステラーゼは時期別変化が少なく,秋にわずかに増加した.葉位による差はセルラーゼで最も顕著に認められ,下部になるほど活性が高かった.
(2) 桑葉をエセホン処理した結果,落葉が促進され,離層部のセルラーゼ活性が急増した.離層部のセルラーゼはポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果, 2つのアイソザイムから成り,
Rm=0.16の活性バンドのほうがわずかに早く増加することが認められた.
(3) exo-ポリガラクチュロナーゼとヘミセルラーゼがエセホン処理により急増し,離層部の離脱に関与したが,反対にendo-ポリガラクチュロナーゼとペクチンエステラーゼは,エセホン処理によって活性が減少したことから,離脱を引き起す酵素ではなかった.
(4) 以上の結果,セルラーゼとexo-ポリガラクチュロナーゼとヘミセルラーゼが自然状態および化学的に促進した桑葉の離脱に関与することが明らかになった.
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