窒素-硫黄,硫黄-硫黄,炭素-硫黄,炭素-セレン二重結合をもついくつかの新しい型の化合物の合成とそれらの構造,反応性について検討した。窒素一硫黄,硫黄硫黄二重結合をあわせもつ化合物として,N-チオスルフィニルアニリンを立総保護効果によゆ安定に単離し,その光反応について研究した。その過程でN-チオスルブイニルアニリンがそZ-E異性化すること,また,中間にジチオニドロ体あるいはジチアジリブン・ヂオニトロソ体を経て反応すると考えられることを見いだしたので,HNS
2格種異性体についてab intio法で相対エネルギー,横造についての知見を得た。炭素-硫黄二重結合をもつ化合物にっいては,従来安定には存在しえないと考えられていた芳香族チオアルデヒド(2,4,6-トリ-t-ブチルフェニルチオベンズアルデヒド)および脂肪族チオアルデヒド(トリス(トリメチルシリル)-t-エタンチアール)を合成し,老り各種性質について検討した。炭素-セレン二重結合をもつ化合物として,安定な化合物の単離例のないセレノアルデヒドを2,4,6-トリ-t-ブチルフェニル基の立体保護効果を利用して合成を試みたが,目的のセレノアルデヒドが中間体として存在する証拠は得たものの,対応するチオアルデヒドにくらべきわめて反応性が高く安定には単離されないことが明らかとなった。
抄録全体を表示