アラブ首長国連邦 (UAE) の主要な4種の
砂漠緑化
樹種,
Prosopis cineraria, Acaciatortilis, Zizyphus spina-christi, Leptadenia pyroteshnicaの生育に及ぼす高pH条件の影響について検討した。(1) UAEの植林地で採取した緑化樹種の葉部微量要素含有量は, 灌溜水のpHの上昇によりわずかに低下した。(2) 緑化樹種の初期生長に及ぼすpH (6.0, 7.0, 8.0, 9.0) 処理の影響について砂耕栽培実験により検討した。高pH処理により
P.cine-rariaと
L.Pyroteshnicaの生長は促進されたが,
A.tortilisとZ.spina-christiでは抑制された。(3)
L.Pyroteshnicaと
A.tortilisの高pH処理下でみられた異なる生長反応の原因を明らかにするために高pH処理区と低養分濃度処理区を設けて水耕栽培実験を行った。いずれの樹種の初期生長も低養分濃度処理区で促進された。(4)
L.Pyroteshnicaと
A.tortilisの初期生長に及ぼす低鉄濃度 (3.0, 15, 0.5mgL
-1) 処理の影響を砂耕栽培実験により検討した。いずれも1.5mgL
-1でわずかに促進された。(5) 本実験では
砂漠緑化
樹種に及ぼす高pH条件の影響を生長量と葉部微量要素含有量により検討した。両者の間に明らかな関係は認められなかったが, 葉部鉄含有量がpHによりわずかに影響された。以上のことから, 葉部微量要素含有量は根による吸収能と栄養特性に左右され, 高pH条件の影響は小さいと考えられた。
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