1959年3月から10月まで,半月ごとに伊賀上野市,名張市近郊の花崗岩起源の治山造林地およびアヵマッ天然生林について最表層土の水分含量を測定し,水分量と気象条件との相関関係を険定した。
しらべた場所は28年生, 7年生, 2年生の治山造林地,壮齢 (25-65年),幼齢 (5-15年)天然生林,および裸地であった。
検定をおこなった気象条件はa) P: 降水量b) P': 1回の降雨につき3mm以下および0mm以上の降水量は鉱質土層の水分増加には無関係であるとみなして修正した降水量c) P'-E d) E:蒸発量 e) Ts: 10cm深, 15時の地温 f) Ta: 日平均気温の6因子の,土壌水分測定日前5日, 10日, 15日の積算値である。
各因子と土壌水分量との相関係数を求めたところ次のようであった。
1. 積算日数の種類による単相関係数のちがいは,ただ1例優良天然生林のばあいを除いて有意差はなかった。
2. 全林分を通じて相関関係のきわめて有意であったのは,蒸発量,地温,気温であった。
3. 修正した降水量は大部分の測定地では有意であったが,壮齢天然生林,裸地では有意でなかった。
4. 降水量はほとんどの測定地で有意な相関関係を示さなかった。
5. 6種の気象因子のうちで,気温,地温,蒸発量など,水分損失に聞係する因子の偏相関関係が圧倒的に強かった。
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