研究目的現在市販せられている無給油生軸受材料について, 軸受に滴下した潤滑油の移動状態を実験的に求め, これを最も普通の軸受金材料である
砲金
の場合と比較しようと思う.研究結果含油性ベークライト, 含油性木材, 生長鋳鉄及び
砲金
を軸受金とし, これに赤く染めた潤滑油を滴下して軸方向における油の移動速度並びに油膜の厚さを観測したが, その結果は大体次の通りである.(1) 軸方向における潤滑油の移動速度の変化状態から見て, これまで考えられていたような軸方向の圧力分布について再考する必要があるように思われる.(2) 軸方向における油の移動速度は, ベークライトは非常に遅く, 他の含油性木材, 生長鋳鉄は
砲金
と大して変らない.(3) 油膜の厚さは
砲金
が一番厚く, 他は生長鋳鉄, 木材及びベークライトの順に薄く, 特にベークライトでは非常に薄い.(4) 給油の前後において軸の回転速度が変化するが, その変化率は
砲金
, 生長鋳鉄, 木村及びベークライトの順に小さくなっている.即ち起動時の抵抗はベークライトが最も小さいといえる.
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