大河内の
社会事業論では社会事業
の対象を「経済秩序外的存在」と限定し,
社会事業
に対する科学的根拠のない伝統の破棄が述べられた.本稿では大河内の
社会事業
をとらえる科学と対象者限定の視点に着目し,その対抗軸として伝統と対象者の拡大とをおき,科学/伝統,対象者の限定/拡大という枠組みから,当時の
社会事業
の捉え方に関する総合的視点を提示した.これら2つの軸から,当時の理論は科学性を重視し対象を拡大する「普遍拡散型
社会事業
」,伝統を重視し対象を拡大する「伝統融合型
社会事業
」,伝統を重視し対象を限定する「慈善型
社会事業
」,科学性を重視し対象を限定する「科学的固有型
社会事業
」に分類できた.「普遍拡散型」は社会改造運動,「伝統融合型」は厚生事業,協同組合運動など,「慈善型」は人格的保護や応急的保護,個別的救済など,「科学的固有型」は社会的文化施設,ケース・ワークなどと
社会事業
の方向性をとらえていた.
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