歯周炎における接合上皮の深行増殖の過程には, 歯肉上皮と歯根膜の間の上皮―間葉系の相互作用が深く関わっているものと思われるが, その詳細にはいまだ不明な点が多い。歯周炎のような組織破壊を伴う病態においては, マトリックスメタロプロテアーゼの関与が指摘されているが, 中でも付着上皮基底板の主要な構成成分であるラミニン-5, タイプIVコラーゲンに強い基質特異性を有するマトリックスメタロプロテアーゼ3(MMP3)は, 重要な役割を果たしている可能性が高い。そこで本研究では, 接合上皮の深行増殖のメカニズムを明らかにするために, 歯根膜細胞, 歯肉線維芽細胞, 歯肉上皮細胞から構成された三次元培養を用いて, 上皮細胞の分化, 増殖機能を再現可能な歯周組織モデルを作製し, MMP3の挙動について検討した。その結果, 高カルシウム濃度(0.97mmol/l)の培養条件下では, 上皮細胞の積層, 基底膜様構造の構築が可能であった。またケラチンの発現もみられた。低カルシウム濃度(0.075mmol/l)での培養条件下では, 上皮細胞は増殖能を維持しながらコラーゲンゲル内に侵入していくことが明らかになり, その部位ではMMP3の発現が認められた。以上のことから接合上皮の深行増殖の過程において, MMP3が重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
日本歯周病学会会誌(日歯周誌)51(2) : 153-161, 2009
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