健常成人男性14名(28±8歳)を対象とし、文書による同意取得後、臍部上30cmから5分間の複合場刺激を与え、刺激後10分間にわたり生理的変化を測定した。プロトコールは、ダブルブラインド・クロスオーバー法にて行い、同一人が実験と対照の2種類に無作為の順序で参加した。断続的血圧、連続血圧・心拍変動、胃電図、脳波(F3, F4, P3, P4)、脳循環、臍部と顔面部皮膚温をモニターし、胃電図と脳波のフーリエ解析、左右の同期度を計算した。さらに心拍変動からLF (0.04-0.15Hz)とHF (0.15-0.4Hz)を求め、自律神経系バランスを推定した。キーオープン後に、実験群とプラセボ群とを比較した結果、(1)胃電図での振幅と周波数の増加、(2)心電図HFパワーの増大、(3)脳循環の変化、(4)脳波ではα波のパワーの増大と左右同期度の変化などが、実験群においてのみ認められた。複合場刺激が、心理的な作用を介してではなく、実際に生体に作用することが示唆された。
抄録全体を表示