本研究では,知的障害のある高校生を対象として概念地図法を用いた語彙指導を行なった.知的障害のある高校生への概念地図法の効果の検討と,指導方法の違いによる学習効果の差を検討することを目的とした.指導はプレテスト−指導前期−中間テスト−指導後期−ポストテストの順に実施した.指導前期では,対象生徒と指導者が交互に単語を記述する「交互記述」を行なった.指導後期では,対象生徒が記述した単語同士を関連づける「グループ化」を行なった.各テストでは,同一のテーマによる概念地図作成を行い,記述単語数および記述形態の変容について分析を行なった.指導の結果,プレテストから中間テストでの比較から,「交互記述」には記述単語数の増加する効果が認められた.中間テストとポストテストの比較から,「グループ化」には記述形態が高次な型へ変容する効果が認められた.
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