国土地理院から公表される大量の水準測量データを処理するパーソナルコンピュータ用のシステムを開発した.このシステムでは, 測量データを各交点間で分割しそれぞれ1つのファイルとして作ることにした.このことにより幾つかのファイルを合併して任意の路線のファイルを作ることができる.またデータファイルの作成と修正はこのシステムからは分離し, ワープロソフトまたはエディタソフトを用いるようにした.
このシステムはデータの処理だけでなく目的の水準路線における垂直変動量の図を地形の断面図とともに描くことができる.
このシステムのグラフ作成機能を用いて, 新潟県の安田と福島県のいわき市平を結ぶ水準路線における1897年から1974年までの約77年間の垂直変動量を検討した結果, 上越・飯豊山地, 猪苗代盆地, 阿武隈山地の3つの地域がそれぞれ大きな地殻変動単元を構成していることが明らかになった.また, 会津盆地西縁断層付近の特徴的な変動パターンも認められた.
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