鼻•副鼻腔領域におけるナビゲーション手術の必要性,機種,適応疾患および手術教育への応用について報告した.最新のナビゲーションシステムの高い精度を生かして術者自身の精度を検証した結果,手術部位と画像との解剖学的位置関係のずれは,術者の知識差,経験差によって,また手術部位によっても大きく異なることが明らかとなった.術前に術者の精度を確認する上で,またその誤差を補完する意味でナビゲーションシステムの使用は有用と考える.機種については,次々と高性能の機器が登場してきているが,今後使用用途によって二極化されるように思われる.一つは大学病院レベルの高度な手術に対応した高性能の機種と,もう一つは最低限の機能を有し,操作性に優れ,外来,診療所レベルなど,いつでもどこでも使える機種である.適応疾患については,正常構造が崩れた慢性副鼻腔炎(再手術)例,多胞性あるいは骨性閉鎖などの副鼻腔嚢胞,後鼻孔骨性閉鎖例のような奇形症例が絶対適応と考えられた.鼻科手術教育への応用として,副鼻腔モデルとナビゲーションを組み合わせたイメージガイド下トレーニングシステムは,自己学習が繰り返し行え,スキルの向上に役立つものと考えられた.
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