観察方法は, 青シソの葉の細切片を次のような方法で観察標本を作製していった.
1) 固定はグルタルアルデヒド・オスミウム酸液を使用した.
2) 脱水はエチルアルコール.プロピレンオキサイド液を使用した.
3) 包埋はエポン樹脂を使用した.
4) 電子染色は酢酸ウラニルと硝酸鉛の二重染色を行なった.
観察結果は次の如くである. (1) 葉肉細胞では核, 仁, 核膜, 細胞壁, 細胞質, 細胞膜, ミトコンドリア, 小胞体, 葉緑体等の微細構造が観察された.
(2) 腺鱗の分泌細胞では葉肉細胞で観察されたものはほとんど観察できた.特に小胞体, ミトコンドリア.好オスミウム性物質の顕著なものが観察された.しかし葉緑体は存在しなかった.
(3) 腺鱗冠部の分泌細胞と柄部細胞の内部微細構造はかなり酷似していた.おそらくこれら両部分の細胞は同じような生理的機能をもつものであろうと推定される.
(4) 基部細胞, 柄部細胞および冠部分泌細胞の細胞壁中に小孔と思われる像が観察されたものもあった.これらの小孔は腺鱗柄部から冠部へと続く方向の細胞壁中に多かったように思われた.
以上の観察結果から葉肉細胞の葉緑体内で
精油
の先駆物質のようなものがつくられ, それが基部細胞.柄部細胞そして冠部細胞へと移行し, 分泌細胞内で
精油
に合成されるのではないかと推定される.
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