アロマテラピー学雑誌
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原著論文
血管内皮細胞での炎症応答に対する植物精油の抑制作用の検討
丸山 奈保 上野 匡安部 茂
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2021 年 22 巻 1 号 p. 10-16

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抄録

植物精油は,アレルギーや急性炎症など,さまざまなタイプの炎症症状の緩和に効果的であると言われている。本研究では,精油の炎症に対する作用特性を明らかにするため,花粉症などI型アレルギーの素過程として,刺激によるヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)からの一酸化窒素(NO)産生に対して,精油の抑制効果を検討した。精油は,花粉症などにアロマテラピーでよく使用される6種を用いた。HUVECを密集状態に培養したプレートに,精油,刺激剤であるカルシウムイオノフォアA23187を加え50分培養した後,培養上清に分泌されたNO量を測定した。6種の精油の0.001%での抑制作用を比較したところ,ティートリー精油とレモングラス精油は抑制作用が強く,ゼラニウム精油,ラベンダー精油と続き,カモミール精油とユーカリ精油では有意な抑制は示されなかった。好中球の活性化抑制作用などの炎症の素過程と比較したところ,種々の炎症反応に対する精油の作用特性には違いがある可能性が示唆された。炎症にかかわる反応のさまざまな素過程に対する精油の効果を比較し,その作用特性が明らかになることで,炎症症状のケアに対する精油の組み合わせや使用法などを提案する上での理論的基盤の確立が可能になると考える。

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© 2021 公益社団法人 日本アロマ環境協会
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