戦後70年を過ぎ、戦争体験の継承がますます困難になっている。そこで大学と地域が連携して戦争体験を継承するためのワークショップ「雄和で学ぶ暮らしのなかの戦争」を開催し、ライフストーリーをとおして地域の戦争体験を記録するとともに、住民や学生が意見交換を行った。本稿では、ワークショップで紹介された語り手の戦争体験を記録し、参加者にとってどのような学びや気づきにつながったのかを考察する。語り手にとって戦争は、語り難い記憶でもある。個人の戦争体験を継承する取り組みでは、語られたことに焦点が当てられがちだが、聞き手は語り難さからも、言葉にできないほどの記憶や思いを抱えている語り手の存在に気付くことができる。個人の戦争体験としてワークショップで語られたことと、語られなかったことを示したうえで、聞き手が前者だけでなく後者からも戦争の悲惨さを学んだことを明らかにしたい。
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