文学資料をいかにして保存・活用していくのかを考える際には、図書館が持つアーカイブ機能やコミュニティ機能に注目してみるとよい。まちの図書館に求められているのは、その地域における情報基盤としての機能であり、教育・産業・地域づくりなどの活動との連携が求められる。また、観光振興の機能を高めるために、地域文化の可視化や情報発信などの取り組みも期待されている。本は人と人とがつながるツールであり、それらが数多く集まる図書館は、人々が創発的に新しい知識を生み出すための空間として機能している。
本稿では、限定された文学作品を何とどのように接続することで、文学あるいは文化全体と有機的な関連をもたせて理解することが出来るかについて、文学展「浅草文芸、戻る場所」(二〇一八・九・一~一〇・六、日本近代文学館)での営為を踏まえて問題提起をする。美術教育の事例を踏まえ、散策型鑑賞教育としての展覧会の可能性について、文学教育の新たな可能性をひらくものとして、加藤周一の文学の定義を援用しつつ論及する。
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