美容実習系の教育担当者に期待される能力とはどのようなものだろうか.
美容室と教育の場での体験を顧みて考察する.
美容実習系教育担当者の能力は,教育・指導の評価能力がより重要であるといえる.ある段階で教育・指導の効果がどの程度「ある」のか「ない」のかの判断を下すことができなければ,次の段階の教育・指導ができない.その時々の教育・指導の効果を瞬時に判断しつつ対象者個々の次のテーマを見抜き,適切な教育・指導をしなければならない.
このような能力は,実習の場においてどれほど実践的な技術指導経験を積むかに左右される.しかし,実習の場で客観的な見地からより具体的な情報の収集をすることによって,「効果あり」「効果なし」の判断をつけられるようになる.
まずは,学生の評価・成績があがるような効果ある教育・指導は何かということを追及することから始める.
それには,効果をどのように判断するかという評価基準が重要なポイントになる.これはあくまでも科学的な根拠で裏づけされていなければならない.そのためには,可能な限り継続的に数字で示す必要がある.そうして,その数字が示す理由について明確に解説し,学生たちの目標を明確にさせる能力が必要である.そのような能力を高めなければならない.美容実習教育担当者は,「教育・指導の効果」についての責任を持つことでその責任を全うすることができるのである.
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