従来,西洋的な価値観を中心に継承されてきた教養教育としての「
美術史
」は,近年のポストモダニズム理論,教育観の変化,日常における新しいメディアの台頭等によって,より広範囲な分野を対象とする「視覚文化」的な捉え方への軌道修正が試みられている。本論では,そのメディア文化の一端ともいえるゲームや映像,Webコンテンツなどを専門とする学生に向けた教養科目「
美術史
I」の実践を取り上げる。そして,歴史上の作品分析やそれらに基づく実践を通して,色や構図だけでなく,シンボル,キャラクターによるストーリー表現,社会的メッセージ,経済的ニーズなどといった視覚コミュニケーションの観点で考える
美術史
教育を提案し,その可能性について考察していきたい。
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