静電圧を利用した重イオン加速器であるタンデム加速器は,原子核研究,原子分子研究,固体材料照射損傷の研究などに広く利用されている。この加速器はビームエネルギーを容易に変えられることや,ビームサイズが小さいこと,さらにビーム種が豊富であることなど他の加速器に比べ優れた特徴を有している。この特性を損なうことなくさらにビームエネルギーを増強するため,原研では1988年から後段超電導ブースター加速器の建設を開始し,94年7月に計画の加速器性能を達成した。この原研タンデム加速器ブースターを利用する実験計画も95年4月からの利用開始に向けて進んでいる。本稿では,原研タンデム加速器ブースターの構成とその特徴を述べ,原子核研究を中心として,現在建設中の実験装置とその研究内容を紹介する。
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