近年、わが国では、農山村部の限界集落のみならず、都市郊外部においても人口減少地区からの撤退が現実的な政策課題として浮上している。本稿では、都市郊外部における高齢化および人口減少が進展しつつある住宅団地からの撤退の考え方、撤退に伴う様々な費用(例えば、引っ越しに伴う金銭的・非金銭的費用に対する住民への補償金)と便益(例えば、撤退団地の住宅やインフラの維持管理費用および建て替え・大規模更新費の節約)を整理し、撤退の条件および撤退の最適タイミングの算出方法を提案している。提案した方法を千葉県船橋市の2つの郊外住宅団地に適用したケーススタディの結果、一方の住宅団地の住宅建て替えのタイミングに、当該団地の全住民がもう一方の住宅団地に移住することが社会的に望ましいこと等が示された。
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