今春も,東京における「第26回今春の物理入試問題についての懇談会」(通称「入試懇談会」)が開催された。これまで継続されてきたように,今年も高校・大学双方からの貴重な意見交換・情報交換がなされた。今春の現役生は新学習指導要領完全実施となって2回目の入試であると同時に,高大接続システム改革会議の「最終報告」が2016年3月31日に公表され,大学入試改革に注目が集まる中での入試であった。懇談会では,個別大学入試に期待する声と作問の苦労,それぞれの現場・立場から見た問題点だけでなく,入試問題という枠にとらわれない物理教育としての課題などについての共通の認識が図られ,有意義な懇談会となった。以下,今回の懇談会における話題を紹介し,入試問題を題材としつつ,中等教育から高等教育へとつなげる物理教育を考えるきっかけとしたい。
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