本稿では、「規制の虜」問題の発生を防ぎ、規制を「より良い」ものにしていくための評価システムの条件について検討する。そのために、まず規制監視機関(ROB)に注目し米欧日比較をするのに続き、規制実験評価の方法と留意点を整理する。ROBにありがちな応答性と専門性のジレンマへは、政治的リーダーシップと情報公開で対処する。ROBは、関連する政策共同体の外かつ上に配置し、しかるべき権限と機能の付与、規制監視に係る適正手続の整備、独立性確保による信頼構築に留意する必要がある。本稿では、日本の特区制度も踏まえて望ましい規制評価システムを検討し、「刺激-反応」型モデルを前提とした規制評価が、まずは明確な問いの下、十分に設計された規制実験において、より効果的に実施され得ると論じる。その上で導き出すのは、因果推論と選択バイアスの問題克服、実施・評価活動の客観性確保、実験・評価後の最終決定権者の裁量縮減という条件である。
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