平成20年の文部科学省の中央教育審議会答申では,「創造性をはぐくむ造形体験の充実を図りながら,生活や社会と豊かにかかわる態度をはぐくみ,生活を美しく豊かにする造形や美術の働きを実感させる」と「創造性の育成」に加え,「生活・社会に豊かに関わる態度の育成」や「造形や美術の働きを実感させる」ことを重視することを美術教育に求めている。一方,地域社会を活性化させる日本各地でのアート・プロジェクトにおいて,芸術家と住民との協働作業で生み出されている環境芸術は,芸術と社会を橋渡しする役割を地域社会の中で担っている。そこで本研究は,現在,小学校で使用されている図画工作科の教科書において,環境芸術の作品が教材としてどのように掲載されているのか,その状況を分析することで,環境芸術を美術教育に教材として導入する教育的効果と課題点を考察する。
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