平成23年度における味噌に関する研究業績は,微生物関連の研究において味噌関連の新規酵素ならびに遺伝子機能に関する研究が行われている。原料大豆,麦等の研究は基盤研究として着実に実施されているが,少ない傾向であり今後の研究促進が望まれる。機能性,おいしさに関する研究報告が比重を増す傾向にある。機能性に関しては,韓国などの日本味噌に類似した発酵食品について,分析技術を駆使した研究が増加する傾向が見られる。おいしさや食育からの味噌利用に関する研究は,年々研究報告数の増加みられ,日本型食生活への回帰,若年層の健康を考えたとき発酵食品の重要性があらためて認識されている。機能性研究においてはヒト介入試験や疫学研究が求められ,次第に研究成果が現れてきているが,長期間にわたる研究が必要である。日本食での味噌の役割は,健康と食品機能の点から見ても極めて重要であり,新たな展開に向けて製造技術,微生物研究の進展が一段と期待される。
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