関数の概念に初めて出会う生徒たちを対象として,数学・理科の横断的学習を実施し,理科の実験が関数の学習にどのように効果をもたらすかを探索した.関数のイメージに適した実験教材を用い,比例・反比例以外の関数も含めて授業実践をし,関数概念の定着度を調査した.一連の授業では,因果関係を意識させることを目的として,関数の入力・出力のイメージを重視した.このイメージに基づいて実験や分析を進めることで,独立変数・従属変数・定数の区別が明確になり,関数一般の概念と比例特有の性質との違いが理解しやすくなるという効果が確認できた.また,入力・出力のイメージに基づく関数一般の理解が自然現象の理解,特に因果関係を意識した理解に繋がるという示唆的結果が得られた.
抄録全体を表示