コントロール不良のNIDDMにみられる感染症のうち膿胸は決して稀なものではないが, 口腔内常在菌Streptococcus milleriが起因菌となった膿胸の報告例は少ない. 我々の経験した当該症例を報告する.症例は69歳女性. 53歳時にNIDDMを診断され, 65歳より当院初診後もコントロール不良であった (HbA
1c8.0~9.0%). 平成9年6月11日発熱. 左前胸部痛を主訴として来院, 胸部レ線上左下肺野にニボーを認め, 左肺膿瘍が疑われ入院した.抗生剤の投与にもかかわらず膿胸に進展, 左側無気肺になったため, 第4病日より胸腔内持続ドレナージを施行した.穿刺液は黄乳自色の膿性胸水であり, S. milleriが検出された. 第19病日には炎症反応が陰性化, 胸腔ドレーンは抜去した. 膿胸の起因菌は嫌気性菌や黄色ブドウ球菌の報告例が多いが, S. milleriによる膿胸も今後注意が必要である.
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