本研究は1954年日米租税条約(「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約」(昭和30(1955)年条約第1号))における独立企業原則の国内執行について、当時の文献を素材に検討するものである。1954年日米租税条約には独立企業原則(日米租税条約第3条及び第4条)が規定されていたが、当時の対応する国内法には独立企業原則がはっきりと明記はされていなかった。当時の記録では大蔵省が当時国会で答弁するための想定問答に法人税法第31条(同族会社の行為計算の否認)が対応する国内法として考えていた。当時条約の国内執行とは別に問題として非同族会社も同族会社の行為計算の否認規定に含めるか議論があった。
この点に関しては後の移転価格税制につながると考える。そして外資法による外資優遇政策により外資法人に対する同族会社の行為計算否認の適用は難しかったと結論づける。
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