胃癌の発育形態として比較的稀な胃外発育型胃癌の1例を報告し,加えて本邦報告例40例を集計し,自験例とともに検討した.症例は35歳,女性,心窩部痛を主訴として来院した.胃透視にて胃空腸瘻を認め,胃X線,胃内視鏡像から胃体部大弯側の胃粘膜下非上皮性悪性腫瘍を疑ったが,潰瘍底部の生検にて腺癌の像を得たため,胃外発育型胃癌と診断した.術中所見では胃体部大弯側に手挙大の弾性硬な腫瘍があり,横行結腸,空腸,膵,脾に浸潤していた.手術は胃全摘及び膵体尾部,横行結腸,空腸合併切除を施行した.(H
0P
0S
3N
4(+)Stage IV).病理組織診断は高分化型腺癌,リンパ節転移程度はn
1(+)であった.胃外発育型胃癌本邦報告例を文献的に検討すると,主訴は腹部腫瘤が最も多く,好発部位は胃体下部大弯側に多かった.組織型では分化型癌,低分化型癌の頻度はほぼ同率であったが,低分化型癌のうち間質量が髄様型の頻度が高率であった.
抄録全体を表示