アデノウイルスによるacute respiratory distress syndrome (ARDS) の2剖検例を経験した。症例1は1ヶ月男児で, 主訴は呼吸停止。Moraxella catarrhalisによる右上葉の肺炎で入院中にARDSを発症。高頻度振動換気, ステロイドパルス療法施行するも状態は悪化, 死亡した。症例2は6ヶ月男児で主訴は発熱, 咳噺。両側上葉のRSウイルス肺炎の診断で入院中にARDSを発症。高頻度振動換気, ステロイドパルス療法, γ グロブリン療法等を施行したが死亡した。この2例の肺組織の病理所見は, ともにアデノウイルス免疫染色陽性で, 壊死性の気管支炎, 細気管支炎, 肺炎像の形態をとっていた。上皮細胞内には核内封入体を多数認めた。
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