埼玉県東部の中川流域では, 農業用用排水路と河川が有機的に結合し, 反復利用を繰返しながら, 流域の水環境を保全している。
中川流域の農業用水は, 非灌漑期には, ほとんど用水の取水を行っていないため, 河川の水質濃度は, 灌漑期に低くなり, 非灌漑期に高くなるという変動をしている。また, 中川流域上流部の福川では, 非灌漑期にも取水を行っている農業用水の影響を受け, 安定した水質濃度となっている。
このことは, 永い歴史を経て形成された水利用形態が, 流域の水循環の中で, 地下水かん養や水質保全等, 流域の保全機能を有しているものである。
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