昭和28年1月より昭和31年12月に至る4年間,宮崎県東旧杵郡の南部を占める1市1町6村及び児湯郡東米良村の小中学生を主な対照として塗抹法により寄生虫検査を行つた。鉤虫卵保有者については昭和31年9月より濾紙培養法を行い鉤虫の種類を鑑別した。
1) 被検人員67,952名の内,蛔虫卵保有率は昭和28年59.5%,29年71.0%,30年51.2%,31年45.8%であり,鉤虫卵保有者率は28年4.0%,29年5.6%,30年4.1%,31年9.4%であつた。
2) 虫卵別単独感染者54.5%,混合感染者7.5%で,このうち2
重感染
者7.3%,3
重感染
者1.4%,4
重感染
者0.03%であつた。
3) 組合せ別にみると単独感染者は10群で蛔虫48.6%,鉤虫2.6%,鞭虫2.1%,蟯虫0.9%,次に東洋毛様線虫,横川吸虫,矮小条虫,縮小条虫,肝吸虫,肺吸虫の順である。2
重感染
者は13群で蛔+鉤(3.0%),蛔+鞭(2.0%),蛔+蟯(1.0%)等の順である。3
重感染
者は4群で蛔+鉤+蟯(0.04%),蛔+鉤+鞭,蛔+鞭+蟯及び鉤+鞭+蟯はともに0.03%,4
重感染
者は蛔+鉤+鞭+蟯の1群で0.03%である。5
重感染
以上では蛔,鉤,鞭及び蟯虫は必ず含まれている。
4) 市町村別蛔虫卵保有者率は市部45.8%,町部45.1%,村部62.5%で村部が高率である。
5) 男女別には市部及び村部では男子の方が感染率が高く町部では女子の方が高い。
6) 村別にみると北郷村(72.5%)が最高で東郷村(53.5%)が最低である。
7) 濾紙培養による鉤虫仔虫出現率はヅビニ単独感染者が最多でアメリカ単独感染者は遙に少い。
8) 1人当り孵化仔虫数はヅビニ鉤虫が多く,年令別にはヅビニ鉤虫は7歳,13歳,14歳,15歳に少く,アメリカ鉤虫は8歳,13歳,14歳が少ない.
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