日本において, informed consentの意味が取り違えられており, その結果患者の自己決定権が侵害されている. Informed consentとは 「十分に説明を受けたうえで行った同意」 という意味であり, あくまでもその主体は患者本人であって医師ではない.
そして, 患者がinformed consentを行うことができるよう, 医師は医師法17条を根拠として情報提供を十分に行う法的義務があるのだが, これが説明義務と呼ばれるものである.
保険商品に関する保険者・保険契約者間のいわゆる情報の非対称・不均衡状態の解消のために,韓国法においても,保険者の説明義務に関する規律の整備が進められてきた。保険者の説明義務を私法的に規律する法規定として,商法638条の3と約款の規制に関する法律3条を挙げることができる。両規定ともに約款の「重要な内容」を説明義務の対象として定めているが,その義務違反の効果については異なる規律を設けていることから,それらの関係をめぐり学説上争いが生じている。また,保険業法95条の2は,監督法の見地から,保険商品の販売勧誘時に,法令で重要事項として定められた内容を一般保険契約者に説明しなければならないものとしている。このような状況は,特に日本法における情報提供義務のエンフォースメントを考えるにあたり参考になると思われる。一方,2020年3月24日に,金融取引における消費者保護に関する法律が成立し,規定の大部分が1年の猶予期間を置いて施行されることになった。保険商品も同法で定義する金融商品に該当するので,保険取引については,来年から同法上の販売行為規制が適用される。同法の施行が保険の領域にどのような影響を及ぼすのかについては,引き続き注視していく必要がある。
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