胆·膵専門医の地域医療における役割は,医療提供施設相互間の機能の分担に貢献することにある.2007年4月,厚生労働省により施行された"新しい医療計画"の規定では,良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を構築するための評価法として"地域連携パス利用率"があげられている.ところで,膵·胆嚢癌は今日においても極めて予後不良の疾患である.熊本市医師会は,尾道市医師会の"膵·胆道癌の早期発見プロジェクト"をモデルとした"地域連携パス"を活用した試みを開始した.プロジェクトの骨子は1.かかりつけ医による膵·胆道癌危険因子の拾い上げ,2.精密検査のためのEUS施行可能な専門施設への患者紹介,3.かかりつけ医,専門施設共同によるEUSを含めた定期的なフォローアップである.尾道市医師会より始まった本プロジェクトが全国に普及し,膵·胆道癌の予後改善に寄与することを期待したい.
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