初期平安京は厳密に正方形の都城であるという仮説が最近になって提起されているが,本研究はこの正方形仮説の淵源を唐
長安
城に求めるものである。従来,唐
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城は古代日本の都城の規範とされてきたが,厳密な正方形性が議論されることはなかった。本稿では,唐
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城の新たな復原の結果と初期平安京の正方形仮説を合わせて考察することで,ふたつの都城の復原を相補的に検証する。正方形仮説は,1)初期平安京が1 辺1500 丈の正方形であり,2)初期平安宮が1 辺400 丈の正方形であり,3)大極殿院が1 辺40 丈の正方形であることを主張するが,この仮説に含まれる1500 丈,400 丈,40 丈という数値の由来を定量的な解釈により示すことができた。この結果は同時に唐
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城の復原案の正当性を支持するものである。
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