本研究では,イカの解剖実習とプラスティネーション標本の観察(以下,標本観察と称する)を中学校の理科の授業で実践し,部位・器官に対する生徒の観察の状況,解剖実習と標本観察に対する生徒の意識について調査し,分析した。本研究の目的は,上記の2つの視点をもとに,両者を比較することを通して,標本観察の有効性について議論することであった。研究の結果,明らかになったことは次の2点である。①解剖実習と標本観察において,部位・器官に対する生徒の観察の状況については,えら心臓を除き,明瞭な違いはみられなかった。②解剖実習と標本観察に対する生徒の意識については,明瞭な違いはみられず,ともに概ね良好であった。上記のことは,標本観察を導入して授業を実践する有効性を示唆している。
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