横長の要素と縦長の要素が混ざり合う工場景観には,日本庭園の石組意匠に通じる審美性があるのではないか。四日市コンビナート工場景観と,庭造図絵秘伝に描かれた石組の絵図の比較を通して,この仮説を実証することが,本研究の目的である。構成要素の縦横の寸法の割合を見ると,横長や縦長の形態的特徴を有する要素が,双方で優勢であることから,庭造図絵秘伝の石組に通じる,水平性と垂直性の対比という構図が,四日市コンビナートの工場景観にも認められる。さらに,縦長の要素の足元に横長の要素がある,という構図も共通している。
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