本稿では,まず,多数の語の文体(書き言葉的な硬い文体-話し言葉的な軟らかい文体)の程度差を連続的な数値で示している『語の文体値データ』の概要を紹介した.次に,このデータの活用例として,「語の文体」に基づいて「文章の文体」を,「文章文体値」という数値を用いて推定することを試みた.推定に用いた文章は,『現代日本語書き言葉均衡コーパス』のコアデータであり,各レジスターの文体的特徴を再現することができた.これを通して,『語の文体値データ』及び「文章文体値」が文体研究に有効に使えるデータであること,また,「語の文体」と「文章の文体」との相互依存関係を計量的手法により実証的に分析可能であることを示した.
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