栃木県宇都宮市では宇都宮市中心部と宇都宮市の東に隣接する芳賀町の工業団地を結ぶLRTが計画され、2019年度の開業が予定されている。LRT整備は、地下鉄等の鉄道整備と同様、将来の都市内の人口分布や都市構造を大きく変化させると考えられる。このため、計画・整備にあたっては、これらの変化を考慮した費用、便益の計測が必要である。本稿では、交通整備による世帯分布・都市構造の変化を踏まえた費用便益分析の確立を念頭に、LRTの整備が将来時系列の都市内世帯分布に及ぼす影響の推計手法を開発し、栃木県宇都宮市を対象にLRT整備あり、なしの状況における2040年までの世帯分布の推計を行っている。推計の結果、LRT整備は、宇都宮市東部や芳賀町の沿線での人口減少に歯止めをかけるなど、世帯の転居行動、世帯分布・人口分布に一定の影響を及ぼすことが確認された。
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