口腔底腫瘍術後の舌運動障害により主に準備期,口腔期に摂食・嚥下障害を呈した一症例を経験した.摂食・嚥下時に食塊が口蓋と口腔底に停滞して咽頭へ送り込めなかった.そのため口腔内死腔を減少させる目的で嚥下補助床を両顎へ作製した.Videofluorographyでは補助床装着により液体およびゼリーの咽頭への送り込みに改善を認めた.しかし舌による口蓋への押しつぶしは弱く,臼歯咬合面へ食片を運べないことから,前歯部で粉砕した食片を両顎補助床間で捉え,舌背へ送れるよう補助床に傾斜をつけて調整した.その結果,ゼリー粉砕後の送り込みも改善した.本補助床は嚥下の口腔期障害の治療に有効と思われた.
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